魚は、自分が水の中にいることを知らない

私たちが普段、
空気というものを意識しないように、

魚たちは、
水、というものを意識しないのだろう。

 

私たちは、
空気、という存在を、
無いもののように感じている。

見えないし、
触れている感覚もないし、
自分が空気の「中」にいる、なんて、
忘れている。

知識として知らなかったら、
空気というものが存在するんだ、とすら、
わからなかったのかも。

 

きっとそれと同じように、
魚たちも、
自分たちが「水」というものの中にいるとは思っていない。

生まれた時からその中にいたら、
その中で呼吸し、食べ、眠っていたら、
水、という存在に気づかないのかもしれない。

魚たちにとっての、
空気のようなものなのかも。

 

私たちが、自分の足を使って歩くように、
魚たちは「泳ぐ」ということをして
行きたいところに移動する

私たちが「暑い」「寒い」と感じるように
その時々の「水温」を、感じているのかもしれない

 

私たちが、水の中に入って
「呼吸できない!苦しい!」と感じるように

魚たちは、
陸に上げられた時、

「呼吸ができない!なんだこれは!」
と驚くのかもしれない。

 

それは、人間にとっての
「水の中に入る」ような体験なのかも。

人間にとっては無いようにさえ感じる「空気」を
魚たちは、異質なもののように感じるのかも。

 

・・・ってことを、昔から何度か想像しては、
その度に不思議な気持ちになっていたりしたのだけど、

この前、魚たちの世界にお邪魔しました。

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シュノーケリングと、体験ダイビング。

 

海の中に、
もう一つの世界が広がっている、と思いました。

巨大な珊瑚は、まるで高層ビルで、
そのたくさんのビルが立ち並ぶ中に、
魚たちの世界があって。

深いところは、
何十メートルとあるわけだけど、
そこにも、世界が広がっているんです。

それこそ、地球上の陸より大きな世界なのかもしれない。

 

こんな近くに、
こんなに広い世界が広がっていたのに、
全然自分は知らなかったんだ、ということに、
なんか感動したんです。

地球上に、もう一つ別の世界があるんだ、なんて思いました。

逆に魚たちにとっては、
水の中が、自分たちの世界で、当たり前で
陸の世界は、知らない世界なんだろうな。

お互い全く知らないまま、
別の世界を生きている。
同じ、地球上で。

自分が「地球」と思っていたのは、
地球の「陸の部分」でしかなかったのだな、と
地球という世界に、今まで以上に壮大さを感じたのでした。

 

海の中の世界は、
どこまでも、広かったです。

この海の中で、
朝を感じて、夜を感じて、
季節を感じて

一つの生を生きている存在たちが
たくさんいる。

 

海の「中」を泳ぐというのは、
泳ぐというより空を飛ぶような感覚で、

深い海の底を見ながら泳ぐのは、
高いところから地上を見下ろしているような感覚で、

高いところにいるような錯覚を覚えました。

 

果てしなく広がっている青い空間の中を、
どこまでも行ける。

魚たちは、こんな世界に生きていたんだ。

 

人間は、この環境の中では
ボンベがないと生きていけなくて
少し深くに潜るにも、何度も耳抜きしないといけなくて

魚たちの世界を体験した、とまでは言えないかもしれないけど
自分がいた世界とは、まるっきり違うもう一つの世界を垣間見る体験は
とても面白かったです。

 

海の中が大好きになりました。

海の中の青は、
陸から見ていた青さとはまた違う。
どこまでも青いその空間も、

目の前に広がる、陸とは全然違う景色も、

珊瑚や色とりどりの魚や
陸上では出会えない海の生き物たちも

空を飛んでいるような感覚も

別の世界を探検しているようなワクワク感も。

 

これは、人間だから体験できる「海の中の体験」なんだろうな。

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